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折々の歌

 折々のうた・ことば集

折々のうたことば集

「折々の」という言葉には,季節・季節に−と言う意味や、成長するその時々の−と言う意味等があります。倭建命の「倭は 国のまほろば・・」は、大学生になって他校出身の女性が言うの聞いて知った歌で、綺麗な歌だなあと思った歌です。

ギャラリー

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牡丹花

東京の浜離宮恩賜公園にある牡丹園には、多くの牡丹花が植えられ、春には互いに優雅さを競っています。

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京の酒 大吟醸・古都

名優佐々木蔵之介の実家「佐々木酒造」。同窓会で訪れた京都の土産に大吟醸・古都を買って帰りました。

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上野・不忍池の屋台

不忍池の弁天堂への道には、華やかに屋台がありました。とても暑かったためか、人出はいまいちでした。

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綱引き大会

幼稚園の運動会が一転、父母による綱引き大会になりました。吾が子のために負けられないと必死でした。

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◆ 折々のうた・ことば集 ◆ これまでに紹介して来た「折々のうた・ことば」の纏めです。





     落 葉(らくゑふ) ポオル・ヱ゛ルレエヌ〔上田 敏訳『海潮音』より〕  
       秋の日の
   ヰ゛オロンの
   ためいきの
   身にしみて
   ひたぶるに
   うら悲し。
          鐘のおとに
          胸ふたぎ
          色かへて
          涙ぐむ
          過ぎし日の
          おもひでや。
                 げにわれは
                 うらぶれて
                 こゝかしこ
                 さだめなく
                 とび散らふ
                 
落葉(おちば)かな。
 
    ●ヰ゛オロン。ヴィオロン(バイオリン)のこと。
●ポオル・ヱ゛ルレエヌ。ポール・ヴェルレーヌ(フランスの詩人)のこと。

・「落葉(らくゑふ)」・・・原作では「秋の歌」となっている。
・(この詩は)ヴェルレーヌの最大傑作の一つであると同時に、『海潮音』の中での絶唱である。
・この詩についてはさまざまの人が翻訳を試みているが、上田敏のこの訳詩に遠く及ばない。
  ところでここに「ヰ゛オロン」というのは、秋風をヰ゛オロンの音に譬(たと)えたので
 あって、ヰ゛オロンの音が響いてきたのではない。
  また「鐘のおと」の鐘は死者を弔う鐘であることも注意しておく。
     (『日本の詩歌 訳 詩 集』[中央公論新社])より抜粋。
 



  (いし)のうへ   〔 三好達治 詩集『測量船』より 〕  
     あはれ花びらながれ
   をみなごに花びらながれ
   をみなごしめやかに語らひあゆみ
   うららかの跫音(あしおと)空にながれ
   をりふしに(ひとみ)をあげて
   (かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
   み寺の(いらか)みどりにうるほひ
   (ひさし)々に
   風鐸(ふうたく)のすがたしづかなれば
   ひとりなる
   わが身の影をあゆまする(いし)のうへ
 
   ●甃:いしだたみ(石畳)。音読み「シュウ」

この詩の要(かなめ)は「ひとりなる/わが身の影をあゆまするのうへ」にある。一歩一歩孤独を感じながら歩いていく、青年期の堪えがたい春愁が、余韻深く洩らされている。
 詩全体に、外景がうららかであればあるほど詩人の内面の悲哀は濃いという、近代リリシズムの典型的lな作品の一つである。
    (『日本の詩歌 三好達治』[中央公論新社])より抜粋。
●リリシズム:抒情性。抒情詩的な趣や味わい。lyric poetry(抒情詩)から出た言葉。
 



  倭建命(やまとたけるのみこと)の、国思歌(くにしのひのうた)  〔『古事記』より〕
   能煩野(のぼの)に至りましし時に、国を(しの)ひて、歌ひたまひしく、
 
  (やまと)は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠(やまこも)れる 倭しうるはし  
  大和は、国の中でも もっとも良いところだ。重なりあった青い垣根の山、その中にこもっている大和は、美しい。
●国思歌(くにしのひのうた):望郷の歌。
●まほろば:すばらしい場所。住みやすい場所
 

   倭建命(やまとたけるのみこと)の、国思歌(くにしのひのうた)   〔『古事記』より〕
  また、歌よみしたまひしく、
 
  命の (また)けむ人は 畳薦(たたみこも) 平群(へぐり)の山の 熊白檮(くまかし)が葉を 髻華(うず)()せ。その子。
 
 
  生命のちからの 充ちみちている人は、大和の国の 平群の山の よくしげった 白檮(かし)の木の葉を 頭插(かんざし)におさしなさい。 わが親しきお前たち。
※この歌も「国思歌(望郷の歌)」とされていますが、この歌は老いた者が若者に対して「こんな風にして生き生きと生きなさい」と諭している歌であり、同時に身の老いを自覚した「嘆老歌」とも考えられます。  (出典:岡野弘彦他『古事記が語る原風景』(PHP))
(また)けむ人:完全な人。これから先のある人
畳薦(たたみこも):「平群」の枕詞。 真菰(まこも)で編んだ敷物を重ねることを「()」(一()・二()の「へ」)という
     ことによる語
 
 


  木下利玄 歌集「一路」より  
  牡丹花(ぼたんくわ)は 咲き定まりて 静かなり 花の占めたる 位置のたしかさ  
  この歌は、鎌倉の名越(なごえ)の新邸で、結核で病臥に入った利玄が病室での鉢の牡丹を歌ったもの。庭にも牡丹が多かったという。 (『日本の詩歌 7』(中央公論新社)より)。   


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